大リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手が、2025年シーズンもその圧倒的な存在感でファンを魅了している。特に注目を集めているのが、彼の「ボブルヘッド・デー」での驚異的な活躍だ。5月15日(日本時間16日)のオークランド・アスレチックス戦では、自身のボブルヘッド配布日に今季初の1試合2本塁打を記録。14号3ランと15号2ランを含む5打数2安打6打点の大爆発で、ドジャースを19-2の圧勝に導いた。この日は、昨季の「50本塁打・50盗塁」を記念した特別なボブルヘッドが来場者全員に配布され、スタジアムは熱狂に包まれた。これで大谷は、ボブルヘッド・デー4回中3試合で計4本塁打を放ち、まさに「神話」と呼ぶべき記録を築いている。

大谷のボブルヘッド・デーでの活躍は、2024年8月28日のオリオールズ戦から始まった。この試合では、愛犬デコピンが始球式に登場し、大谷はその直後に先頭打者アーチを放った。続く2025年4月2日のブレーブス戦では、9回に劇的なサヨナラ3号本塁打を記録し、チームを開幕8連勝に導いた。そして今回のアスレチックス戦での2発。日刊スポーツによると、大谷はこれらの試合で「たまたんだと思いますけど、こうやってお客さんが入ってくれる中で勝てるのは、選手にとってうれしいこと」と謙虚に語ったが、ファンからは「ボブルヘッド・デーには何か特別な力が働く」との声が上がっている。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督も「ボブルヘッド・デーをもっと増やさないと。4、5回じゃ足りない」と上機嫌でコメントした。

この日の試合は、大谷のバットが火を噴いただけでなく、彼の人気の高さを改めて示す舞台となった。試合前、ドジャースタジアムにはボブルヘッドを求めるファンが集まったが、今回は来場者全員への配布だったため、過去のような長蛇の列は見られなかった。それでも、5万を超える観衆が詰めかけ、大谷の14号3ランが左中間席に飛び込むとスタンディングオベーションが巻き起こった。さらに4回の15号2ランは127.4メートルの特大弾で、バックスクリーン横に着弾。現地メディアは「この世のものとは思えない」とその規格外のパワーを称賛した。14号をキャッチしたファンのジョニー・グラドノスさんは「まさか自分のところに飛んでくるとは」と興奮を隠せず、昨年大谷の「50-50」達成を現地で目撃した思い出と重ね合わせた。

大谷のボブルヘッド・デーでの成功は、単なる偶然ではない。彼の勝負強さとファンの期待に応える力は、2024年に史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成した実績に裏打ちされている。今季も5月15日時点で打率.310、15本塁打、OPS1.055と好調を維持。フルカウントによると、得点圏打率はやや低めだが、決定的な場面での一発はチームの勝利に直結している。アスレチックス戦では、3回に逆方向への技あり3ラン、4回にセンターへの特大2ランを放ち、5月だけで8本塁打に到達。ロバーツ監督は「もう、彼がやることに驚かない」と語り、チームメイトのマンシーも「翔平が打席に入ると、パーティの準備をする」と冗談交じりに称えた。

一方で、大谷の活躍は試合外でも話題を呼んでいる。愛犬デコピンの2歳の誕生日を祝うインスタグラムの投稿や、真美子夫人との家族ショットがファンの心を掴む。MLB公式Xも大谷とデコピンを積極的に取り上げ、「選手より前の存在感」と評するほどだ。スポンサー企業の広告やAR体験コンテンツも彼の人気を後押しし、渋谷での巨大広告は日本でも大きな話題となった。
ボブルヘッド・デーでの大谷の活躍は、単なる記録以上の意味を持つ。それは、彼がファンとチーム、そしてスポーツそのものに与える影響力の象徴だ。ドジャースは現在リーグ首位を走り、大谷のバットは連勝の鍵を握る。次のボブルヘッド・デーはいつになるのか、ファンはすでに心待ちにしている。残りのシーズンも、大谷の「神話」は新たなページを刻み続けるだろう。